優良誤認の罠
「商売=顧客を騙すこと」という文化は滅ぶべし
「優良誤認」という言葉があります。景品表示法という法律で禁止されている行為で、ざっくりいうと
「ダメな商品をとてもいいものであるかのように宣伝して売りつける行為」は禁止
というものです。検挙されれば懲役刑も課されうる重罪なのですよね。
ですが、現実問題その適用はなかなか難しいようで、今も巷にはグレーな宣伝・グレーな営業行為に溢れています。
例えばインターネットのバナー広告には、だいぶ濃い灰色の宣伝が多いですよね。飲んだだけで30Kgやせるとか、塗っただけでシミがポロリと取れるとか・・・医学的にあり得ませんし、万が一そんなものがあったら劇薬なので流通が禁止される、または優れた医薬品として大量生産されて流通しているはずです。視界に入るだけでイラッとするので、早くどうにかしてほしいものです。
(ブログにGoogle Adsenseを貼ったら、そういう広告がこのページに張られるのかなあ、だとしたらちょっと嫌だなあ・・・)
優良誤認だらけの投資業界
投資業界にも、それはダメなのでは?という商品があふれています。今日はいろいろ紹介してみます。(個人の意見なので、鵜呑みにしないでくださいね!)
その1:CB債(仕組債)
複雑でリスクの高いデリバティブ取引を「高利回りの債券」というオブラートでラッピングし、「比較的安全に儲けられる」という誤認に誘導している金融商品です。
実態はコールオプションのデリバティブ取引ですので、変動リスクは一般的な債券とは比較になりません。もちろんそれを理解の上で購入するなら問題ありませんが、それであるならそのままデリバティブ取引をしたほうが、資金拘束(解約できない、もしくは解約すると損する期間がある)がなくていいと思うのですが・・・
その2:貯蓄型保険・学資保険
金利0.5%にも満たない超低利回り貯蓄を「安心」というオブラートでラップした商品です。これも長期間の資金拘束があって、その点でも非常に不便です。金利0.5%の貯蓄をしている間にインフレが数パーセント進んだら実質大損害なのですが・・・
貴金属でも積み立て購入しておいたほうが、数段マシな気がします。
その3:外貨建て保険
安心を手に入れるための保険のはずなのに、多少の利回りと引き換えの為替リスクを乗せてしまった不思議商品です。
どうせ為替リスクを背負うのですから、例えばドル建てなら直接米国債でも買うか、いっそ期待利回りの高い米国株インデックスファンドでも購入したほうが良いのではないでしょうか。
その4:新築ワンルームマンション投資
「老後の年金になりますよ」という言葉で、安心(に見える嘘)と引き換えに超ハイリスク・ゼロリターンの投資(?)に数千万円の借金をさせて参加させようとする、悪魔の勧誘です。
「表面利回り5%」などと高利回りに見える売り文句が良く行われますが、表面利回り計算には含まれないマンション自体の経年劣化分の償却と、空室リスクや修繕積立、管理費等の諸経費を計算に入れると、そのほとんどが利回りマイナスになります。もし35年後にローンを支払い終わったとして、残るのは築35年のマンションですが、それって老後の年金にできる代物でしょうか?
10年前、マンション価格が今より2~3割安かったころは何とかプラスで回せる状況だったようですが、今これをやるのはマンションディベロッパーにお金を貢ぐ行為に過ぎません。
ただし、例えばマンションの経年劣化がある程度進んだ築古マンションであれば、メンテナンス次第でプラス運用できる可能性はあるようですね。マンション投資がすべてNGというわけでは無い、と。
不動産投資は銀行からマンション購入費をフルローンで借りることで、少額の自己資金でレバレッジを掛けた投資ができるところが魅力なので、マンションの目利きができるようになったらやってみたいとは思いますけれど。
その5:泥沼投資信託
リンク先を参照ください。これを買った人には「個人年金代わり」にみえるのでしょうね。これを買うくらいであれば、高配当の優良個別株でも買ったほうがなんぼかマシなのではと思いますけれど。
コロナ禍で株価暴落直後の今なら、日本株の中でも割安高配当の優良株が結構あるようですよ。調べてみてはどうでしょうか。例えば、三井住友FG(一株3000円、配当190円、配当利回り6.3%)あたりはどうでしょうかね。「株価が下がることがあっても配当がもらえればOK」という考えの人には良さそうな気がします。
その6:ソーシャルレンディング
サラ金にお金を貸す行為のようです。詐欺まがいのことも多く、反社に関わるリスクもあるように思います。そもそもこの低金利時代、銀行からお金を借りればいいのにわざわざ年利7%で借金する・・・借り手はいったいどういう人なのでしょうか。貸し倒れのリスクは相当高いと思いますが、リターンがそれに見合っていない。
この仕組みでは貸し手は仲介業者の借り手選定に関われないので、まともな用途、まともな借り手に使われることを祈るしかないのがつらいところです。
すくなくとも、私のような素人がかかわるのは、もうちょっと法整備などが進んで、市場の成熟を待ってからのほうが良いかなと思っています。