泥沼投資信託

2020年8月12日 オフ 投稿者: おじさんプログラマ

買ってはいけない投資信託、というやつです。


いいことばかりじゃない投資信託の世界

ここまで「良い投資信託」ばかり紹介しているので、巷にある変な(一言「変な」で済ませて良いかどうかすら微妙な)投資信託の例も紹介してみましょう。

(SBI証券の投信情報画面:具体的なURLは内緒)

これは、15年前に開始した、今も普通に販売している「毎月分配型」投資信託の一つです。

まず画面左上の信託報酬が1.8%前後であることを覚えておきます。
仮に値段の上がり下がりが無かったとして、15年持っていると

資産が24%目減りします。

すでにこれだけで命の危機を感じますが、画面中央上の基準価格をご覧ください。2760円と書いてあります。投資信託は開始当初基準価格10000円からはじまりますので、

すでに72%減っています。

なんでこんなことになったかというと、キーワードは「毎月分配」。投資信託は株式などと同じように一定期間に上げた儲けを購入者に分配するルールにしているものがあり、この投資信託もそのルールを採用して「毎月20円」を固定で配当しています。

ですが投資は水物、そんな毎月コンスタントに利益を出せるともかぎらず。
そこでこの投資信託は何をやっているかというと、毎月20円、

投資元本を削って配当を出しています。

基準価格減少は、この投資元本の目減りの結果ということです。
これ、この投資信託の仕組みをよくわからないで買ってしまい、毎月配当がもらえるのでもらった配当を喜んで使っていたら、実は自分の財産を使い込んでいただけ・・・ということになりかねません。

(買い手のそういう勘違いを、売り手が暗黙のうちに期待していなければ、初めからこんな設計はしないと思います。なので悪意が0には見えない。)

そして画面下部、トータルリターンをご覧ください。これは配当金として配った分を合算して、この投資信託がどれだけトータルで儲けたかを示す数字なのですが、設定来のトータルリターンが +2.12%。15年かけてこの数字ですので、

年利0.1%前後。

相場は水物ですので、結果的に儲けが出ないこともあるのはやむをえませんが、殆ど儲けを出していないにもかかわらず、その一方で管理人さんは信託された残高全体から毎年1.8%を報酬として抜いているわけです。

結果出してないのに報酬ってさあ・・・

何でこの投資信託、まだ続いているんでしょうね。この投資信託の残高はまだ100億円もあります。きっとこの100億円を預けている人たちは、仕組みを理解しないまま、毎月固定の配当金を受け取って喜んでいるのだろうと思います。

確認したところ、この投資信託、どうも未だにものすごい勢いで売れているみたいなんですよね・・・色々考えてしまいます。

この投資信託、てんこ盛りにいろいろなことが書いてある16ページの目論見書(投資信託の説明書)が付いており、読んでも何のことかよくわかりません。間違えて買ってしまった人がいても、これって自己責任なのでしょうか?

ただ一つ、最後のほうのページに 「販売手数料の上限が 3.3%」 と書いてあります。ネット証券なら販売手数料 0 で買えますが、おそらく 通常の銀行窓口で購入すると、MAXの3.3%を取られる のでしょう。

年利0.1%で販売手数料が3.3%、そして年ごとの残高の1.8%は管理人さんの財布の中に・・・

なにかこう、銀行と証券会社が一体になって、投資で儲けようとしている人たちにすべての責任を押し付け、あるいは勘違いをさせ、自分たちだけはリスク0で儲けを投資家の財布から吸い出そうとする・・・そういう汚れた商売に見えてしまうのですよね。

目論見書の通りに投資活動をつづけた結果でしかないので、ルール的にはあくまで買った人の責任なのでしょうけれど・・・とにもかくにも、こういう減る一方の投資信託を間違ってつかまないよう、注意したいものです。

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