積立投資の不思議

2020年8月10日 オフ 投稿者: おじさんプログラマ

暴落したら嬉しい投資手法と言うモノがあります。
でも、危ない投機行為ではありませんよ。


むしろ暴落してほしいと言ったら、信じられますか?

普通「何かに投資をする」といったら、その投資したモノの値段がどんどん上がって、その値上がり益を得ることを期待するのではないかと思います。当たり前ですね。

ですが積立長期投資のスタンスでは、これは当てはまりません。いや、最終的には値上がりしてほしいのですが、短期的には何度か暴落しても仕方がない、いやむしろ市場の調整としての暴落なら一刻も早くしてほしい、と願うのが積立長期投資での期待になるのです。

一見して意味不明ですよね?これから、どういう事かを説明しようと思います。

試しにこんな計算をしてみます。

2人の人がそれぞれ1万円の余裕資金があって、これを何かに投資してみることを考えます。一人の人はある商品を一括購入、もう一方の人は毎月1000円ずつ10カ月の分割での購入です。

購入した商品が毎月右肩上がりで値上がりするなら、どちらでも嬉しい結果になりますが、残念ながら相場は水物、過去何度かあったように、数年に一度大暴落する可能性からは逃げられません。

そして仮に、購入した翌月に対象商品が50%の大暴落をし、そして翌月からはゆっくり10%づつ回復して、最終的に購入価格の130%にまで値上がりした、というシナリオを考えます。

過去の歴史を考えても、いかにもありそうなシナリオですよね。実際、コロナショック後の米国株は、こんな感じで動いています。この時二人の資産価値の推移は、こんな感じになります。

10カ月目、一括投資の人の資産は13000円、積立投資の人の資産は15500円になります。

なんでこんなに差が出るかというと、積立投資をしている人にとっての暴落は「商品を安値で購入するチャンス」だからです。仮に最初の段階での商品の値段を一個100円と仮定したとき、

● 一括投資の人・・・100個を購入
● 積立投資の人・・・(チャンスのおかげで)合計で約120個を購入

と、そもそも購入できる口数に差が出てきます。

もう一つ注目する点は、2カ月目の資産の残高です。

● 一括投資の人・・・10000円が5000円に減る
● 積立投資の人・・・10000円が9500円に減る

もし現実にこのような暴落があって、結果一括投資の人のように虎の子の資産が半分になってしまうことがあったら、私は正直なところ正気でいられる気がしません。その後に商品の値段がどうなるかなんてさっぱり予想はつきませんので、投げ売りしてしまうかもしれませんし、普段の生活も不幸になりそうです。

ですが、この時もし積立投資をしていたら、どういう気持ちになるでしょうか。

「500円だけ損したけれど、チャンス!」

と、寧ろ小躍りして喜ぶことができるのではないかと思います。

・・・まめると、積立投資をすると、暴落した際に
● あまり不幸にならないで済む
● タイミングによってはむしろ儲かる

という2つのメリットがあることがわかります。

この投資手法は、別に新しく発見したモノでも何でもなくて、はるか昔から存在する投資手法「ドルコスト平均法」です。誰でも簡単にできて効果が大きいので、特に投資の初心者にはお勧めされる手法なのです。ただお金が無いから積立貯金、ではなくてちゃんと意味を持った立派な投資戦略なのですよ。

興味のある方はググってみてはいかがでしょうか。

「ドルコスト平均法」のもう一つのメリットとして、

「考えなくてよい」

というものがあります。

買うものが最終的に値上がりしそうなものでさえあれば、
● いつ買い始めても良い
● 何を買っても良い
● 一度買い方を決めたらあとはほったらかしで良い

です。いかにも私のような怠け者の投資初心者には向いている投資法だとわかります。

・・・と、ここまでいいことばかり書いていますが、何点か注意点も。
● すぐには儲からない(長期投資用の手法)
● 商品が右肩上がりで値上がりするのであれば、一括投資より儲けは少なくなる
● 精算する際に工夫が必要になる

(ずっと右肩上がり → 一括精算の直前に暴落のシナリオで不幸になります)


とはいっても、金利のつかない銀行預金に比べ、さほど手間も増えずに投資ができる手法です。多くの人にお勧めできるのではないかと考えています。

で、いつ暴落するの?

そんなことはさっぱりわかりませんが、最近コロナ対策として「未曾有の金融緩和」が世界規模で行われていて、余ったお金が投資に向けられる、一種のバブル現象のようなものが発生しているように見受けられます。一方で実体経済は大変なことになっていますし、暴落は意外と近くにあるかも?という予想も立てられます。

まあ実際どうなるかはわかりませんが、とにもかくにも「それでも別にいいや」と思えるのは、気楽で良いですね。

皆さんへの注意

グラフでのシミュレーションでお分かりの通りかと思いますが、いつ暴落するかわからないと思っているものを、大量に一括購入してはいけません。「虎の子のお金を投資してみよう」と思うのであれば、購入時期を分散するのは非常に重要になります。くれぐれも、注意ですよ!

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