ポートフォリオのバックテストをしてみた

2021年2月23日 オフ 投稿者: おじさんプログラマ

いろいろ分かったことがありました

Portfolio Visualizer

某有名投資Youtuberが紹介されていた、ポートフォリオの高性能分析ツール「Portfolio Visualizer」を少しいじってみました。この中で「Backtest Portfolio Asset Class Allocation」を実施して、興味深い結果が出てきたので、皆さんに紹介します。

Backtest Portfolio:ポートフォリオ3種類を入力

Backtest Portfolio Asset Class Allocation」では、さまざまなポートフォリオによる(データがある限り)過去任意の複数年間の積み立て投資結果のバックテスト(もしその期間にから積立投資をやっていたら、どういう結果になっていたか)を確認することができます。またその際、最大3種類のポートフォリオについて結果を同一グラフにプロットして、簡単に比較することができます。便利ですね。ただUIは英語というのが問題ですが、この程度を入力するのに難しい単語はないですので、大丈夫だと思いますよ。

で、上記の通り3種類のポートフォリオを入力してみました。

  • その1:ほぼ私のポートフォリオ
  • その2:私のポートフォリオについて、割合を雑に変更
  • その3:米社債を米長期国債に入れ替えて、かつ債券の割合を増額

投資期間は18年(一部のアセットのデータが過去18年分しかなかったので)、初期投資を3万ドル、毎月積立額を1200ドル(ほぼ私の20年投資の予定と同様)で検証してみた結果が、こちら。

Portfolio Returnsはそれぞれのポートフォリオの品質指標、Portfolio Growthがそれぞれのポートフォリオでの積立投資の成長グラフです。


分かることその1:結果はどれでも大して変わらない

3つのポートフォリオのいずれでも、18年間の積立投資の結果はおよそ90万ドル(約9000万円)になっています。最大と最小の差はわずか5%しかありません。(こちらでの予測値とあまり変わらない結果になっているのは面白いですね)

…ということは「長期・積立・分散投資をすること」自体が重要であって、そこから先、小手先(?)の工夫にはあまり意味がない、ということになりそうです。ああだこうだ考えるのは趣味としてはアリですが、そのあたりに興味が無いなら適当でも良さげ。

分かることその2:ちゃんと分散していれば十分に高品質

Portfolio Returnsの表のなか、TWRRが年平均リターン、Stdevが標準偏差(=リスク)、Sharp Ratioがシャープレシオの値です。3つのポートフォリオともに、リターン、リスクは10%前後、シャープレシオは0.8前後と非常に高い品質を示しています。まずはアセットアロケーションを意識した分散投資さえしておけば、それだけで問題ないみたいですね。

分かることその3:無リスク資産は確かにリスクを下げる・・・けれど

Portfolio Returnsの表の中、Max Drawdownの値が、(悪夢の)最大暴落率です。ポートフォリオその2ではこの値が40%を超えていますが、ポートフォリオ3では30%を割っています。ここに結構な差が出るのは予想のとおりで、それ自体はなるほど、と思うところです。

ですが…年毎の資産運用結果を他社と比較され続ける機関投資家にとって、この数字の差はとても重要だとは思いますが、例えば私のような小口の個人長期投資家にとって、この程度の数字の差にはたして意味があるのでしょうか?

金融不安などにより株式市場が絶望的な暴落をしている最中に、債券の採用をした結果資産全体の下落幅が10%少なくて済んだからと言って、その時どういう気分になっているのかを想像してみます。結局ポートフォリオの大きな割合を占めている株式は大暴落しているわけですので、「気分的には大して変わらないんじゃないの?」という気がしてしまいます。それよりも、暴落時に狼狽売りしないことの方がよほど重要そう。

分かることその4:歴史的には、暴落はそんなに怖くない

たかだか18年のバックテストでも、その中に世界の金融に衝撃を与えた2度の大暴落(リーマンショック、コロナショック)を含んでいます。当時は世界中が悲観の嵐、色々とよろしくない副作用というか、社会現象が多発したのは記憶に新しいです。

ですが長期積立分散投資であれば、あのリーマンショックですら約1年、コロナショックに至っては約半年放っておけば元に戻っていることがわかります。最大40%のドローダウンも1年で回復するのですから「暴落をそんなに怖がる必要はない」と考えてもよさげです。


…ということで、個人の「長期分散積立投資」にとって重要なのは、適当に自動積立投資を設定したら、あとは「ちゃんとほったらかしにする」ことではないか、という結論に至りました。心をいつも平穏に保って淡々と投資するのが良いようですね。年次でリバランスくらいはすると思いますが、その程度のメンテナンスで十分じゃないでしょうか。

高度な分析ツールから得られた結果は「大切なのは心の持ちよう」という非常に文学的(?)なものでした。皆さんも参考になれば。

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