危機回避マニュアルを考えてみる
その時に慌てないように
いまから強気相場が加速するだろうというときに考えることでもないような気もしますが、その時になって慌てないように、暴落相場にそなえて、自分流の危機回避手順を整理しておこうと思います。
暴落相場で何が起きるか
「暴落相場」と言えば何が暴落するかというと、主に株式、そして次に社債になるでしょう。金および米国債は危機においてむしろ値上がりを期待できるものですし、暗号資産に対する最近の期待値は金に準ずるものですので、こちらも金と同様の作用を期待して良いように思います。REITは微妙かな?コロナショックでは超暴落しましたが、パンデミックというかなり特殊な事故が原因ですからね・・・
ちなみにこれらのアセットクラスに至るまですべて同時に暴落するような「超暴落相場」であれば、その時は世界経済の崩壊を意味するレベルでお金なんか貯めても仕方ない状態ではないでしょうか。ということで、それは考慮から除外しておいて、今回考える危機回避は「株式と社債をベースにした資産に保険を掛ける」とします。
で、具体的に何をどうするの?
昨今、経済のグローバル化はますます進行しておりまして、暴落相場での株価は世界中の市場で一律同じように価格変動すると予想されます。そういう状況では逆にややこしいことを考える必要はなく、株式アセット全体の所有額と同額だけS&P500指数ETFをヘッジショートすれば、ほぼほぼ保険としての機能は果たしそうです。
私は全世界株式、米国株式、日本株式、新興国株式の投資信託を所有していますので、これらの残高の合計額と同額だけ、iシェアーズS&P500米国株ETF (コード1655)を信用売建することにします。(市場の時間外かつ超急ぎの場合はCFDを売るかもしれません。SBI証券で取り扱うCFDにS&P500はないので、その時はダウ平均を売ることになりそうです。)
社債については資産内の割合が少なく、また回復が早いことが期待できるので放置する・・・でとりあえずは良いかな。
で、いつ売るの?
S&P500指数が暴落しそうな気配を検知可能な、便利な指数が存在します。その名はVIXとVVIX。
前者は CBOE(シカゴ・オプション取引所) S&P500 Volatility Index の略で、S&P500指数先物に対するオプション取引のプレミアムに連動しています。色々端折って簡単に言うと、「保険料高くなってもいいからヘッジショートする!」と考えている人が多いと上がる値です。後者は CBOE VIX Volatility Index の略で、VIX指数の変動率予測が上がると上がる値です。これも要約すると「超ヤベー!ヘッジショートで保険掛けないと!急げ!」と思っている人が多いと上がる値です。事実、コロナショック前夜の2020/2/24、この2つの指数は窓開けを伴って急騰しています。
VIX・VVIXの値自体は、あくまでオプション市場の活況ぶりを示しているだけに過ぎません。
ところで、オプション市場での取引には、ロングポジションであるコールオプションと、ショートポジションであるプットオプションの2種類があります。そのうちコールオプションは強気相場下で少額での一攫千金を狙うギャンブル投資で、やる人は急に増えたり減ったりしないものです。一方でプットオプションの方は「プロテクティブプット」と呼ばれる基本的な資産リスクヘッジ戦略の一つで、機関投資家も多用するため、コールオプションとはニーズの量が違います。要するに、オプション取引が急に増えたら、その時はたいていプットオプションが増えています。
VIXを別名恐怖指数と呼ぶのは、VIX指数の増大が実質的にプットオプションの増加を示しているからにほかなりません。
というわけで、前後に発生する経済ニュースの内容などにもよりますが、この現象を見つけたら危機回避の目的で全株式資産の50%前後のショートを建てる、その後は状況の変化に応じて最大100%までショートを増やす、ということをすればよいかなと思いました。なお、VIX・VVIX指数のチャートはTradingViewツールでいつでも確認可能です。
ということで結論、
- VIX・VVIX指数を日頃から監視しておいて「あれっ?」となったら経済ニュースを確認
- 「やばい!」と思ったら株式アセットの合計価格の50%だけ1655を信用売建する、その後は状況に応じて最大100%まで増やす
となりました。その時本当にそれができるか、そして成功するかはその時になってみて、かな。
機会がくるのは3年後か5年後か、それとも・・・?