コロナワクチンの種類
現在様々な種類のコロナワクチンが各国で研究・製造され、短期間の知見を経て緊急承認されて利用されていますが、世界中で接種が進むにつれ、種類ごとの良し悪しがだんだんと見えつつあるようです。
ｍRNAワクチン（ファイザー・モデルナ）
画期的な新技術であるmRNAワクチンは、今回のコロナワクチンが初めての実用となります。過去のワクチンは10年程度の治験を経て承認、使用されるものですが、今回のコロナワクチンについては、緊急事態であるために十分な治験期間を飛ばされて使用されており、そのため長期での影響が実際どうなるのかはわからないという点で、危険性が無いとは言えないワクチンです。ですが、そもそもの理屈上長期的な影響が出るような作用機序を持っているものではないはず。また先進各国ですでに億単位のワクチンが接種されている中、今のところ大きな問題は確認されておりませんので、あまり心配する必要もなさそう・・・というのが現状ですね。
唯一の問題として、頭痛や発熱・痛みなどの副反応は強めに出るようです。ただ個人的には、そもそもワクチンは異物に対する体内の免疫反応で抗体生成をするわけですから、その過程で風邪の初期症状に似た副反応が出るのは当たり前で、そこが気になる人ならそもそもワクチンなんか使ってはいかん、ということのように思うのですよね。
そして何より、効果は抜群です。イスラエル（人口800万人ほど）では、一時期新規感染者が1日1万人という危険な状況にありましたが、国民の60％にファイザー社製のワクチン接種を完了している今日、日毎の新規感染者数が10人程度にまで激減しています。ほぼシャットアウト。ほんとうに人類の叡智は凄いなあ、と思うしかないです。この技術が進展すれば、人類は長年の悩みであったウイルス性のすべての病気から解放される日が来るかもしれません。
ウイルスベクターワクチン（アストラゼネカ・ジョンソン&ジョンソン）
ざっくりいうと、人類に無害なウイルスに、コロナウイルスの遺伝子を注入したモノがウイルスベクターワクチンです。コロナウイルスの繁殖をされることなく、体内で免疫生成ができるわけで、これもなかなか素晴らしい技術と思います。こちらもこれまで億単位の接種が進んでいますが、ほぼmRNAワクチンと同様の成果を出しているようですね。アストラゼネカ社がある英国では、一時期日毎の新規感染者数5～6万人という非常事態にあったものが、現在は2000人程度まで激減しています。イスラエルほどの劇的な成果ではありませんが、かなりのものですね。医療崩壊につながる重症者数が現時点でわずか100人前後まで減っており、ワクチン接種の主目的は十分に果たしています。
一つ問題があるのは、極まれに発生する血栓症状。100万人に1人程度という極低確率ですが、血栓症を発生して最悪死亡してしまうケースがあるそうです。そのため日本でも、薬事承認はしていても国民への接種には利用しないという微妙な取り扱いをされていますね。この問題については製薬会社も認識しており、現在改善策を鋭意調査開発中とのこと。解決までは少し時間がかかりそうです。
不活化ワクチン（シノファーム・シノバック）
不活化ワクチンは、コロナウイルスを有害な繁殖を行わないように加工したものですね。ワクチンの開発手法としては伝統があるもので、インフルエンザワクチンなどの従来ワクチンの多くはこの手法で生成されています。副反応などの心配がそれらに比べて特段高いということはないはずで、その意味で安心感はあります。
ただ問題は、不活化ワクチンってあまり効かないのですよね。もしこの手法で作られたワクチンがｍRNAワクチン並みに良く効くのであれば、今頃インフルエンザは撲滅されていたはず。インフルエンザワクチンの実際の効果は例年30％程度と言われており、もしかすると今回のワクチンも、その程度の効果しかないのではないかと危惧されます。（何せ生産国があの中国ですから、「検証の結果70％以上の効果です！」とか言われても、本当かどうか疑ってしまいます。）また詳しくはわかりませんが、おそらくインフルエンザワクチン同様にウイルスの変異に対応しずらい問題があるでしょうね。
実際問題として、ワクチン接種完了者の割合だけであればイスラエルを超えるバーレーン、UAEといった中東の国家では中国製の不活化ワクチンが利用されていたのですが、新規感染者数が全然減らないという問題に直面しています。そのため、新たにファイザー製ワクチンを購入・投与しなおす計画が立ち上がっているそうです。
こうしてみていくと、世界各国の接種状況と効果を観察しつつ、結果として「ファイザー・モデルナ製のmRNAワクチンのみを全国民に接種する」と決定・実施するに至った日本のワクチン接種の経緯は、そう悪い選択でもなかったのではないかと思うのですよね。2か月後にイスラエル同様になれることを期待しつつ、もう少しの我慢かな？と思います。
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