バックテストの結果「どうやっても億万長者」
さまざまな期間設定でバックテストしてみました
Portfolio Visualizerにて、比較的古く(1978年以降)からデータがあるアセットを用いて、期間別のバックテストをやってみようと思いました。対象にしたのは上記2種類のポートフォリオ。
- 1番目・・・米国株40%、米国長期債40%、金20%の防御的ポートフォリオ
- 2番目・・・米国株100%の攻撃的ポートフォリオ
これらに対して、初期費用3万$、月次積立費用1200$、年一回のリバランスで積立投資を行う設定です。
先ずは全期間のパフォーマンス。
- 防御的PF・・・年平均リターン9.98%、リスク8.93%、最大ドローダウン-16.47%
- 攻撃的PF・・・年平均リターン11.9%、リスク15.43%、最大ドローダウン-50.89%
こんな簡単なポートフォリオでも、なかなかのパフォーマンスです。これで40年間あまりの積立投資を行った結果はこんな感じ。
防御的PFは1500万$(約16.5億円)、攻撃的PFに至っては2700万$(約30億円)になりました。ひええ。そりゃアメリカ人にお金持ちがたくさんいるわけですよ。こんなバックグラウンドのもとで自国の株式に投資していれば、誰でもお金持ちになれますもんね。ちなみにこれ、投資額を1/10にしても億万長者です。20代の社会人の方は、月1万円前後の積み立て投資を是非やってみてほしいところです。それを続けるだけで老後の心配がなくなりそう。
各PFの年毎のリターンはこんな感じ。おおむね毎年10~20%増えることが続いている、という印象ですね。攻撃的PFに至ってはしばしば30%超えになっています。2008年のリーマンショック、2001年前後のITバブル崩壊、1987年のブラックマンデー、そして2020年のコロナショックと、資本主義社会の終わりを感じさせたような大暴落事件を多数含んでいて、そのうえでこんな感じなのです。
流石にリーマンショックとITバブル崩壊はそこそこの損害を出していますが、それもその前後の十分な成長に吸収されているので、長期投資をしていれば痛さもそこそこで済みそう・・・な感じです。
株価が30%暴落したら世紀の大事件ですが、一方で30%成長しても事件にはならない、なので暴落ばかりが印象付けられて一般市民を投資から遠ざける原因の一部になっている、という構図がありそうですね。まずは事実を知るということは、何事においても重要です。
さて、これらをベースラインにして、積立NISAでも採用されている現実的(?)な長期投資期間20年を、色々な期間で切ってみて、投資結果がどうなるかを確認してみるというのが、今回の調査のメインイベントになります。
1978~1998
まずは最初の20年。このケースでは投資期間の末期がちょうどITバブルに重なるので、非常に優秀な結果になりますね。防御的PFで227万$(2.5億円)、攻撃的PFなら428万$(4.7億円)。攻撃的PFの年平均リターン16.33%が光りますが、防御的PFの12.12%もなかなかです。
1983~2003
5年ほどずらしてみます。このケースでは、投資期間の末期がちょうどITバブル崩壊に重なるので、かなり痛いパターンの一つになるかと思います。痛いパターンなのですが、それ以前が好調なので、どちらのPFでも億万長者達成です。防御的PFで135万$(1.5億円)、攻撃的PFで178万$(2億円)。
1988~2008
開始時期をさらに5年進めます。最悪パターンの中でも本当の最悪パターン、投資期間中にITバブル崩壊を、そして投資の最終年度にリーマンショックを食らうというパターンです。結果は、それでもほぼ億万長者達成です。防御的PFで115万$(1.3億円)、攻撃的PFで89万$(1億円)。リーマンショック直後は反発していますので、こんな踏んだり蹴ったりのケースであったとしても、少しだけ取り崩しを控えめにすればあまり問題なさそう。
1993~2013
開始時期をさらに5年進めてみましょう。ITバブル崩壊とリーマンショックを踏むタイミングが前倒しになります。結果は防御的PFで116万$(1.3億円)、攻撃的PFでも116万$(1.3億円)。億万長者は余裕で達成、十分満足な結果になりそうです。
1998~2018
さらに5年進めてみました。開始初期にITバブル崩壊、中期にリーマンショックを踏んだパターンです。すべてのケースの中で最も年次リターン平均が低くなっていますが、それでも防御的PFで100万$(1.1億円)、攻撃的PFでも100万$(1.1億円)、やはり億万長者達成です。このパターンの攻撃的PFだと最初の数年はとても憂鬱なことになりそうですが、結果を見る限り、あまり気にしなくて良さそうですね。
2001~2021
最新の20年間です。(最終年度はまだ4ヶ月しかたっていませんけれど)。期間が短いうえ、コロナショックを踏んでいて、さらにリーマンショックのマイナス影響はも強力に出ていますが、それでも結局億万長者達成です。防御的PFで108万$(1.2億円)、攻撃的PFでは140万$(1.5億円)。それにしても、他の期間に比べて特段優れた数字というわけでもないところが面白いです。「ここ最近はGAFAMのおかげで運が良いだけで・・・」みたいな言説を言う人は、この結果を見てどう思うのでしょうか。
・・・ということで、過去43年間から適当に20年を区切って米国への積立投資をした場合のテストの結果は、最悪でも億万長者、運が良ければ5億円近くという、ある意味恐ろしいものになりました。投資家と労働者の格差が開くって、こういうことなのですね。皆さんも、知らないうちに機会損失をすることの無いよう、考えてみてください。