米国長期金利の今後を考える
供給過剰は解消しつつある・・・のかな?
米国超長期国債は、それ自身の金利もさることながら、金利低下に伴う価格上昇がこれまで長い間継続してきたことで、債券価格上昇分も加えると年平均リターン6~7%を期待できるなかなかお得な投資先であり続けたようです。・・・が、ここ最近のゼロ金利政策により、債券価格は上がりすぎ、とうとう価格上昇の余地が殆どなくなってしまいました。
そこにきて、政府による度重なる巨額の財政出動による新発国債の大量供給、経済回復の見通しからくる急激な金利上昇期待の高まり、そして最近ではFOMCでのSLR規制の一時的緩和に対する解除(※)の決定など、供給過剰状態をもたらす条件が整ってきたことで、米国債券は一気に値を下げ、それに伴って金利は駆け上がってきたようです。
現在米国10年債は1.7%、30年債は2.6%程度まで金利を上げてきています。ゼロ金利時代の債券は流石に高すぎ(利率低すぎ)で買う気が起きるものではなかったですが、そろそろ購入する魅力がでてきたのかな?と感じるところです。
そして市場の人たちも同様の感想を抱きつつあるのか、債券価格は小康状態となり、それに伴って下落を続けてきたNASDAQ市場が回復を見せ始めるなど、市場が落ち着きを取り戻しつつあるようです。ここのところ恐怖指数が20を下回り続けているのも、市場参加者の期待値を測る良い指針になりそうですね。
これが一時的な小康状態なのか、それともこれから始まる債券大暴落の序章なのか、まだちょっと判断はつかないですが、株式に対する投資と同様、債券に積立投資をするのであれば、どちらのシナリオでも良いように思います。ということで、私も米国10年債および超長期債ETFの積立てをそろそろ本格的に始めてみようかな?と考える次第です。
(※)SLR規制どうのこうのについて
米国では、リーマンショックの反省から、銀行などに対して、金融危機に対応できるよう一定の資本を常時準備しておくことを強制しています。それがSLR規制とよばれるものですが、昨年のコロナショック後のゼロ金利政策で青息吐息の米銀行への救済策として、このSLR規制を一時的に緩和していました。その緩和内容は「米国債を買うのであれば、それは資本準備金とみなしてあげますよ」というものです。米国債を買っておけば金利が付く分、現金を蓄えておくより儲けが出ますので、銀行に対する救済策になるわけですね。
ところがFRBは前回のFOMCにて「経済の回復基調が確認できたので、この緩和を終了します」と宣言してしまいました。こうなると、米銀行は上記の緩和策に基づいて購入していた米国債を売り払って資本準備金を回復させなければなりません。これが債券市場への巨大な供給となる(あるいはそういう噂が立った)ため、ここ最近でパニック売りが進み、債券価格の一層の暴落が進んだ・・・ということがあったらしいです。
誰かが特殊な事情で資産を投げ売りしている時って、儲けの種である可能性が高いですよね・・・ゴクリ。