不安定な市場の原因は

SNSを介した不特定多数の個人投資家による株価操縦が行われているようです

ここ数日発生している株価の下落を説明する事象が見つかったので、簡単に説明してみます。

英語圏におけるSNSの一つにRedditと言うモノがあります。TwitterやFacebookに似たサイトですが、この中に個人投資家が集うスレッドがありまして。どうもここに集まった個人投資家が「ぬくぬくと甘い汁を吸っている機関投資家は許せん、あいつ等を倒す正義の戦いを起こそう！」みたいなノリで結託し、ヘッジファンドによる空売りが厚く積みあがっている中小の個別銘柄を総攻撃しているようです。

攻撃と言っても実態は単なる実株及びコールオプションの爆買いなのですが、何せ人数が人数なのでヘッジファンド側は積み上げていた空売りポジションを防衛することが出来ず、ショートスクイーズ（空売りポジションを精算して撤退すること）を重ねて大損しているらしいですね。結果米国のいくつかの個別株で、近年まれにみる異常な高騰(例えばGameStopという企業の株が、なんとたった二週間で最大25倍！)を示しているようです。

因みに金はたいして上がっていないのに銀だけ暴騰しているのも、どうもコイツらのせいらしいですよ。

まあここまでは他人事であれば「まあそういうこともあるかな？一種の仕手相場みたいなものだよね」と思うだけなのですが…
問題は発生元がSNSであるためにその規模や攻撃相手が全く読めないことと、一方で「莫大な資産を抱えている機関投資家たちは、皆安定した市場を欲している」という大原則を忘れていることにあります。

Redditの個人投資家たちは小さな勝利で盛り上がっているようですが、それと引き換えに起きていることは「機関投資家による大規模なリスクオフ行動（要はリスク資産の全面的な売却、あるいは購入手控え）」。それがここ数日の全世界における株価の暴落を引き起こしているというのが、今の現象の説明になるようです。

Redditの個人投資家が行っているのは、結果的にはプラスサムゲームであるはずの株式市場をマイナスサムに引きずりおろす愚かな行為なのですが、その手の人たちにはそういうことは理解できない、ということでしょうか。

彼らのやっていることは一種の株価操縦ですので、規制・逮捕されるなどして、嵐が過ぎるのを待つしかないでしょうか。そう長く続くことではないと思いますので、様子を見ていくしかないでしょうね。

（長期投資目線では、一時的な下落という絶好の買い場が到来するのかもしれませんぞ…）